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VW / Audi 米国で大気浄化法違反か!?

VWグループ 存亡のピンチ。

シルバーウィークも後半に入った昨日、日経新聞のサイトで衝撃的なニュースを目にしました。独フォルクスワーゲンと傘下の独アウディのクリーンディーゼル自動車で米国大気浄化法違反の疑いがある、という内容でした。そして米国で大問題になっている理由が、両社が連邦環境保護庁(EPA)が定める排ガスに関する試験をクリアするために違法なソフトウエアをクルマに組み込み、その犯罪を犯した事をVWが認めている、という点です。

この違法ソフトの内容は、あらかじめ特定の「モード走行」の時は排ガス中の有害物質を抑えるようなプログラムが仕込まれていたようです。試験時にテストドライバーは、この特定の「モード走行」をマッピングすると低エミッション車に変貌する、ということになります。逆に言うと、この特定の「モード走行」のマッピングから外れると、「通常性能と同様」基準値を超える排気ガスを排出する、ということが言えます。これは悪質です。

クリーンディーゼルの燃えカス

「クリーンディーゼルエンジンは排ガスがクリーン」。この表現がユーザーの間で誤解を生んでいる理由だと思います。ディーゼル車のテールパイプに顔を近づけ「匂いや黒いススが出ないですね〜」という記事をご覧になった方も多いのではないでしょうか。正確に言うならば、「クリーンディーゼルエンジンは『以前と比べ』排ガスがクリーン」でしょう。

クリーンディーゼルの場合、排気バルブが開き、外に飛び出す燃焼済みの排ガスの中には様々な「燃えカス」が排出されます。一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、一酸化二窒素(N20)、硫黄酸化物(SOx)、そしてパーティキュレートマター(PM)。。
昨今のクリーンディーゼルエンジンで最も難題が「NO系とPMの取り扱い」です。PMは簡単に言うと燃えなかった物質が固まった黒いススです。この黒いススを出さないようにするには簡単で、「高温で完全に燃やすこと」です。しかし、燃焼温度を上げると、今度はNOxが出やすくなります。それではNOxが発生しないギリギリの温度で燃料が燃え尽きるまで燃焼を持続させる仕組みを作ればよいのですが、刻々と変化するエンジン回転数の全てのステージでそれを実行するのは不可能です。ですので、最近のトレンドは、「燃えカス」が出ることが前提で、如何に燃えカスを処理するか、という点にイノベーションが起こっています。

イノベーションはDPFにあり。

欧州車のエンジンスペックに興味がある方は、「DPF」という言葉を目にした事があると思います。DPFは、上述のPMを除去するフィルター装置です。ボッシュやデンソーの高圧インジェクターが急激な進化を遂げており、高圧噴射により燃料が微粒になっておりPMフィルター側も微細化に迫られています。
DPFのハイテク技術の一つが、DPFフィルターに貯まった「燃えカス」に少量の燃料を噴射しPMを燃焼させる技術です。DPFが詰まるとセンサーが感知し排ガスがDPFへ向かう途中に燃料を噴射します。「リジェネレーション」と呼ばれるこの技術は、欧州で生まれた考え方ですが、現在では日本のメーカーがトップランナーです。

NOx対策は原始的

一方のNOxの排出対策ですが、代表的なのは「尿素SCR」です。DPFを通過した排ガスに尿素水を吹き付けて、NOxの中のNO2を安全なNOに組み替えることが目的です。原始的な対策と言えますが、NOxを大幅に低減できるようです。

フォルクスワーゲン&アウディの今後

中国市場の減速で世界的に販売が低迷しているフォルクスワーゲンの中でも、一際販売数が好調だったのが米国マーケットでした。日経新聞の報道によると、今回の法違反で180億ドル(2兆1600億円)の制裁金が科される可能性があるようです。さらに、後処理装置の交換や追加を連邦裁判所から科される可能性もあり、また、米国のVW/Audiディーゼル車ユーザーは「詐欺にあった」と思い、集団訴訟に動く可能性もあります。欧州に目を向けると、ドイツは静観するでしょうが、英国とフランスが再調査に出る可能性があります。まさに存亡の危機です。

ここからは全くの想像となります。大衆車のVWには上述のような高機能な「燃えカス」の後処理部品にコストを掛ける余裕が無く、DPF機能を削った。そして部品にコストを掛けれる高級車のアウディは、VWとプラットホームを共有するため後処理装置を組み込むスペースがなくVWと同じシステムを採用した。。。

真実はVW/Audiが知るのみ、ですが、「技術の前進」により世界ナンバー1の自動車メーカーへと上り詰めたVWグループだけに、欧州車ファンとしては非常に残念で仕方ありません。

なお、VWの名誉のために申し上げると、ニューパサートに搭載される新型EA288エンジンの「欧州仕様」の燃えカスの後処理は完璧です。NOx吸蔵還元触媒、DPF、尿素SCR、低圧EGRを全てレイアウトしています。日本の規制をクリアするにはこれらの搭載が必須となるでしょう。

欧州自動車メーカーは、厳しいEUの規制を乗り越えるため、ディーゼルエンジンの技術革新を繰り返し行ってきました。今回のショッキングな事件はVW/Audiにとって、とても大きな試練ですが、きっと技術革新で乗り越えられると信じてやみません。

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