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コラム)Apple Siriとクルマのインテグレーション

AppleのiOS5プラットホームでデビューしたボイスコマンド/デジタルアシスタントシステム「Siri」。6月11日から開催されているアップルの開発者会議「WWDC(Worldwide Developers Conference)」で大きな話題となっているのがSiriとクルマとの連携です。

ステアリングホイールにある「Siri」ボタンを押すと、Siriが立ち上がるという使い方です。iOS 6から利用が可能となります。BMW、GM、ベンツ、ランドローバー、ジャガー、アウディ、トヨタ、クライスラー、ホンダが対応を表明しています。

AppleとBMWはインテリジェントなカーインフォテイメントシステムの実現に長年タッグを組んでいます。BMWとiPhoneは、iOS4からインテグレーションを既に実現しており、今回のSiriカーインテーグレーションはその進化版と言えます。

今回のSiriカーインテーグレーションで新たに実装される機能は「Eyes Free」と呼ばれています。BMW iDriveやAudi MMIのコントローラーにタッチしなくてもSiriが利用可能になります。

実は、BMWの他にも、Audiやホンダ、トヨタが名を連ねているのは、BMW iDriveに搭載されている「業界最高レベルのリアルタイムOS」「自動車業界のWindows」などと評される「QNX」というOSを各社が採用しているからです。
BMW以外のカーメーカーは、AppleとBMWが創造してきた世界に相乗りした、というのが実情です。

QNX側のアプリケーション プラットフォームをカスタマイズすることより、ステアリングホイールのマルチファンクションボタンからiPhone Siriにアクセルができるようにするもの、と想像できます。

今回のAppleの発表で、AppleがクルマOSの世界に参入するのか、という憶測もあるようですが、これはあり得ない話です。セキュリティの脆弱性が指摘されやすいメジャーOSではリコールの不安が拭えないからです。
さらに、動力性能やエネルギーなどの統合制御技術とカーインフォテイメントシステムとの連動が推進されている今、メジャーOSでは荷が重すぎます。
また、「ドライバーの安全」という観点から、スマートフォンのアプリサービスを車内で提供することは本当に適切なのか?というCSR的な観点からも問われるでしょう。

QNXは、Appleと争っているカナダのResearch In Motion(RIM)の小会社ですので、Appleの今回の展開に警戒しそうなものですが、こういうカーメーカーの現状を理解しているのでしょう。

AppleがQNXを買収する、という裏技が飛び出した場合は別ですが。

もう一つ疑問が、カーOSのオープンソース化に邁進していたBMWはどうなったのでしょうか。BMWは、オープンソースのカーインフォテインメントのプラットフォームの開発および導入を推進する「GENIVI Alliance」を2009年頃に立ち上げましたが、その後GENIVIに関する大きなニュースが出ていません。一時期は2015年の3erからGENIVI OSを搭載する、との噂もありましたが。

カーインフォテイメントシステムの役割が、ここ数年大きく変化しました。その背景にはEVやPHVの登場があります。バッテリー状態のモニタリングや、回生ブレーキ機能によるエネルギー回収ステータスなど、制御情報までもがインフォテイメントディスプレイに表示されるようになったからです。
自動車メーカーの基幹技術とまでインターフェースを持つ役割を担うようになった次世代カーインフォテイメントシステム。カーメーカーは「オープンな世界」に躊躇しているのかもしれません。

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