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Car of the Year 2013 by Eurocarfans.jp

「ボディ至上主義」。2013年のユーロカーの動向はこの一言に尽きるでしょう。ボディこそが競争力の源となりました。毎年ドイツで開催される車体設計エンジニアの祭典「EuroCarBody」での各社プレゼンテーションが、今年は注目を集めました。欧州の自動車ジャーナリスト達は、皆、「次の新しいボディ技術は何か?」に夢中でした。
キーワードは、「軽量化と燃費性能向上、剛性アップ、そしてハンドリング性能の追求」です。
ボディ技術では、欧州勢各社が日本や米国よりも進んでいます。その事を痛感したのは、つい先日の日産スカイラインのニューモデルの発表でした。インフィニティバッジを冠してプレミアムセダン市場への投入とのことらしいが、軽量化されたのは前モデル比でわずか11kg。ハイテン材の多用以外ボディ技術で「冒険」はありませんでした。BMW 3シリーズ(F30)は、ボディサイズが拡大したにも関わらず、マルチマテリアル化により重量は45kgも低減されてます。
「マルチマテリアルにするとコスト増になり、韓国勢と戦えない。。。」かつて、素材は日本が得意とする分野だったのですが。

勝手ながら今年もカーオブザイヤーをさせていただきます。選んだクルマは5台です。「ボディこそがコア技術」を表現したクルマでした。

1:BMW i3

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多くの自動車メーカーは、「コスト高」を理由にエンジン車と共通プラットホームでEVを実現します。しかしBMWは、i3専用設計のオールアルミシャシーとカーボンボディを開発しました。「EVでもハンドリング性能の追求を」。結果、電池などの重量物をシャシーフレームに内蔵することで低重心化を実現しています。コスト競争をするグローバル企業にとって、これは異常事態です。人は「経営陣による英断」と言いますが「暴挙」とも言えます。MINIのプラットホームを使用しEV化すれば段違いに製造コストは下がるし、メンテナンスコストも低減されます。「ボディ至上主義」が浸透するBMWならではの決断です。BMW i3は、あらゆる意味で「自動車の革命」です。

2:Land Rover RangeRoverSport

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先代のスチール製セミモノコックボディと比べ40%もの軽量化を実現しています。重量で言うと何と420kg!。オールアルミ製モノコックボディを量産する技術は、ランドローバー&ジャガーが世界で抜きん出ています。ボディ接合にはスポット溶接ではなく、リベットとエポキシ樹脂系接着剤を使用している点も特徴です。また、クラッシャブルゾーンには、強高度アルミ部材を採用し、万一の事故の際も乗員を守ってくれます。
また、オールアルミ化されたもう一つの理由が「スチールと比べアルミは耐食性に強い」という点です。レンジローバーのオーナーは、海山の激しい道の走破を好みます。アルミは空気に触れると酸化しますが、酸化は内部へ進行することなく表面だけに留まります。オールアルミ化には「オーナーには長くクルマに乗ってほしい」というランドローバーの思いが込められています。
オールアルミ製モノコックボディの採用。この「冒険」は同社にとって必ずや英知となり、20年後の自動車業界でもきっと輝いていることを確信しています。

3:Peugeot 308

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過給ダウンサイジングに最も貪欲な自動車メーカーがPSAグループです。「ガソリンエンジンは1.6リッターまで。それ以上のトルクが必要ならばディーゼルで。」という割り切りは凄まじい。こう!と決めれば一気呵成に突き進んで行くのがPSAグループの特徴です。そして、同社が今最も力を入れているのが次世代プラットホームEMP2です。高張力鋼の使用は、前プラットホームで18%だったのが、EMP2では何と76%まで激増。結果、308の車重は1075kgとなり、前モデル比140kg!ものダイエットに成功しています。Cセグメントの中でもダントツで最軽量となりました。加えて、EMP2では低重心化を目指し、より低いエンジン・マウントを可能とする設計となっています。軽量化と低重心化。ハンドリング性能が格段に向上している事は明らかです。

4:Mercedes-Benz Sクラス

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今年のEuroCarBodyで、BMW i3を抑え、1位に輝いたのがニューMercedes-Benz Sクラスです。新型Sクラスのボディは、ライバルのAudiA8が実現したオールアルミボディではなく、スチールとアルミを併用する「アルミニウムハイブリッドボディシェル」です。アルミとスチールの使用比は50対50です。ボディシェルの基本構造であるフロアやピラー、センターシェルは高張力スチールが担っています。にも関わらず、前モデル比約100kgの軽量化を実現しています。
鋼板とアルミの接合で最も難しいのは電蝕とよばれる腐食です。ボディ全体をアルミシャーシとする方が、技術的には簡単なのかもしれません。詳細は情報は不明ですが、Mercedes-Benz Sクラスには、この鋼板とアルミの接合技術に特殊な仕掛けがあり、EuroCarBodyで高く評価されたようです。

5:Range Rover Evoque(2014年モデル)

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量産車で9速ATを始めて搭載するクルマがイヴォークの2014年モデルです。2001年に世界初の6速AT(ZF)を搭載したのがBMW 7er、2003年に世界で始めて7速AT(ダイムラー)を搭載したのがMerc Sクラス、そして2006年に世界初となる8速AT(アイシン)搭載車がレクサスLS460でした。どのクルマもLセグメントのラグジュアリーカーです。リアにエグゼクティブを乗せるクルマであることから、高ギアで回転を落として車内の静粛性の高めることを狙いとした多段化でした。エントリーSUVモデルのイヴォークに、世界で始めて9速AT(ZF社製)が搭載されたのが『事件』と言えるのではないでしょうか。トランスミッション多段化の目的が、排ガス規制と省燃費へと様変わりしました。ZF社製の9速ATは、レシオカバレッジが9.81という超ワイド型。エンジンが「主」で変速機が「従」という関係性が終わった、と認識させられた。また、1500rpmあたりから最大トルクが出るディーゼルターボしか多段化の恩恵が受けれないでしょう。言い換えると、ガソリンエンジンの終焉がまた一歩近づいた、と思わせる1台です。

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